アカウント名・gornergratにちなんで

 当ブログのアカウント名は、gornergrat(ゴルナグラット)である。一体何なのか、全く聞き覚えがない、と言われること必至であろう。実は、スイスのマッターホルン(Matterhorn 4478m)に連なる3000m余りの山の名前である。
 冬はスキー場、夏は緑と花園の楽園と化し、Matterhornを見上げる格好の山だ。確かに、Matterhornが手に取るようだ。その麓の街が有名なツエルマット(Zermatt、標高1620m)。そこからMt.Gornergrat3089mまで行く時速10km、40分ほどかけて登る電車があり、これに乗って見るMatterhornや花園、雪景色も絶景で一年中観光客が絶えない。
 長々と上手とは言えない案内ながら「そこなら行ったよ」という方がいるはずである。ツエルマットへ行くのにあの赤い電車にも乗ったはずである。
 私も昨年の2月、Mt.Gornergratへスキーに行ってきた。ここはスキーヤーにとって メッカの一つ。一度は滑ってみたい所だけに感激した。3000mからのゲレンデの滑降は案の定、快適そのものだった。斜度も雪もコースもよく実力以上の滑りをしているように感じるのである。
 リフトやゴンドラで隣り合わせた外国人と下手な英語での会話も楽しいものである。意外と地元スイスの人よりもドイツ人、イタリア人、フランス人が多く、そうそう日本人も多い。
 リフトで、たまたまブルガリアから来たという小学生姉弟と乗り合わせた。私は日本人であることを名乗ると、弟が、友達にナオミという日本の友達がいることや1、2、3・・・10を日本語で言える、というのである。確かに間違いなく言えた。実は、この子は日本人が営む空手道場に通っていて覚えたという。ナオミちゃんは近所に住んでいるという。「スモウレスラーの琴欧州は知ってる?」申し訳なさそうに「ノー」とお姉ちゃん。こちらこそ突っ込み過ぎを恥じた次第。わずか、10分足らずのリフト上の一コマである。
 ここでのもう一つの話題は、Mt.Matterhornの反対側はイタリアで、人口2千人余のチェルヴィニア(Cervinia)という村の集落であるが、そこへはツエルマットからリフトやゴンドラを乗り継いで行けるのである。ある日のこと同行の先輩二人でチェルヴィニアへ。
 この日はジュネーヴから来たという中年女性と乗り合わせ、一諸に行くことになった。彼女はよく来るというので心強かった。最後のリフトを降りMatterhornの西側を通り抜け、一気にチェルビニアへ滑り降りるのである。彼女はその日のうちに帰宅するため急ぐというので途中で別れ、脱兎のごとく一人で滑り降りて行った。
 もうここは言葉も食べ物もイタリアの世界。イタリア人が圧倒的に多い。何故か。スイス側と何が違うのか。それはMt.Matterhornの容姿に原因があることに気づいた。スイス側から見るそれは三角形のきれいな姿である。イタリア側から見るそれはゴツゴツして黒々して、どう見ても「きれい」とは言えない姿なのである。見た瞬間あのMatterhornとは思えないほど違うのである。
 よって、スイス側に比べ、スキーヤーも観光客も少ないようである。普段は地元イタリア人に我々のようにスイス側から日帰りで滑りに来るスキーヤーがその中に混じっている状態である。しかし、チェルヴィニアはスキー場の広さもスイス側にはかなわないが距離もあり、トリッキーな斜面もあり十分楽しめる。
 街並もイタリー風で瀟洒な店が多い。スキーに観光にお薦めしたい。それにしても、スキーで国境を越えて行ける楽しみは海外スキーならではである。念のため、パスポートは不要であった。
 我がアカウント名gornergtatにちなみ、スイススキー行について述べ、ブログ第2話を終結したい。2011年元旦の夜。

スイス側からのMatterhorn (右)と イタリア側からのMatterhorn