KさんそしてK君、無事か

謹んでこの度の東北関東大地震被災地の皆さんに心からお見舞い申し上げます。友人の話によるとKさん宅は津波が及ばないところにあると聞いていますがいかがですか。電話がつながらないので、無事であることを祈りながら一筆啓上しました。なお、K君とも連絡が取れていません。どうぞご自愛を!
 これは岩手県陸前高田市に住んでいる高校卒業時同じクラスだったKさん宛に書いた手紙である。他の同級生もKさんとやはり同じクラスで同市に住むK君を案じている。地震発生来、今日まで電話がつながらないのでKさんへ手紙を送ることにした。郵便局の話では住所地に家があれば郵便は届けるというが、最終の郵便局が存在しないこともあり、その場合は配達はかなり遅れるとのことである。一日も早く届くよう祈りながら投函した次第である。
 Kさんは、東京の女子大を出て岩手県の中学校の教師になった。結婚して30代から今のところに住み、近隣の中学校に勤務していた。Kさんとはたまたま現職時代は私も同業であったことから年賀状や手紙を交換していた。
 一方、K君は東京の大学を卒業したところまでは分かっているが高校卒業来、旧交をを温める機会はなかったので、いつごろから陸前高田市に住みついたかなどその後の消息はよくわからない。穏やかな感じの人であったことは確かである。ともかく、電話がつながらないだけのことであり、二人とも無事であると信じている。その連絡を鶴首の如く待つのみである。
 ちなみに、陸前高田市は、市の7〜8割に当たる約5000世帯が水没した。今日現在で416人が死亡し、約1800人が行方不明になり、避難者は約7800人であるという。海岸からかなり奥まで津波が押し寄せ、建物のほとんどが消失している。夏は海水浴や観光で多くの人が訪れ、冬は岩手県内陸よりは比較的温暖で住居には適しており、移住して来る人が多いようである。このような街が壊滅的な被害に遭うとは天を恨むしかないのか。
 勿論、他の多くの被災地についても同じことが言える。さらに甚大な被害を被っている地域もあり、また、その地域が青森県から千葉県におよび、人的物的被害はあの阪神・淡路震災を超えてしまった。
 福島原発事故も加わりまさに日本列島が頭を抱えている状況にある。被災されながらも団結して歯を食いしばって艱難辛苦に耐えている姿はあまりにも痛ましく、もう頑張る限界を超えているに違いなく、掛けることばが見つからない。そして、私自身なにをすべきか思料に明け暮れている。
 すべての被災地において一人でも多くの無事を祈り、ペンを置くこととする。