3.11から丸1ヶ月、されど・・・

 まずはじめに、Kさんから届いた必死の便りを読んでもらいたい。

こんにちは! 天候が定まらず、雪が降ったり、霜が降りたりで冬に逆戻り・・・。津波だけでたくさんなのに気候までが被災者を苦しめている・・・と腹立たしく悲しくなります。26日、同期生4人が支援物資をたくさん持ってきて下さいました。津波後の陸前高田を見て、津波の威力・破壊力のすごさにビックリして帰りました。毎日悲しい涙を流していましたが今日は嬉し涙を流しました。水や灯油、お米やお餅、お菓子やお昼の準備までしてくれたのです。味付けご飯のおにぎり、漬け物、おかず・・・と、おしゃべりしながら皆で食べる食事の美味しいこと! 優しい心遣いに感動しました。あなたをはじめ高校の友達の思いやり、情けの厚さに感激です。少しずつ瓦礫の山が崩され、道ができ始めました。水道はいつ復旧するか見通しは立ってないそうですが、頑張って水汲みをし、元気に暮らしたいと思っています。ではまた、お元気で。

 比較的高台に住んでいたKさん。しかし、数十メートル先まで津波は襲ってきた。電気も水道もガスも断たれ、避難所へ。幸いご主人と一緒だった。数日して自宅に戻ったものの不自由な生活が始まった。そして、高台から見た陸前高田市の惨状に目を覆う日々を送っている。この先、心の傷痕は消すことはできるだろうか。

 今日で3.11以来、丸1ヶ月。3/10現在で、死者13,013人、行方不明者14,608人、避難者151,115人である。行方不明者は警察に届け出があった人数で、実際はまだ届け出されていない人が相当数いるといわれ、被害状況は日を追って拡大している状況にある。避難者の中には、福島第一原発事故により放射能物質が放出されており、同原発20〜30キロ圏内住民の県内外への避難者数が含まれている。5町村だけでも7万人に及び、地震津波被害同様、深刻な問題だ。

 被災地と化した生まれ故郷であり、ふるさとであるそれぞれの市町村にどれだけの住民が戻ってくるのか。戻ってきた人たちはどこに家を建てるのか、新たなコミュニティは生まれるのか、地域の将来を担う若者たち、とりわけ小中学生たちのケアは充分にできるのかなど心的物的復旧・復興への道のりはほど遠く、未知的である。
 3.11の東日本大震災は日本国民に価値観の見直しを迫った。真の平和、真の安全、真の幸福、真の政治、真の教育、真の人生とは何か、と。中身の伴わない右肩上がりの生き方には真理の真贋を惑わす魔力があるようだ。もう一度、立ち止まってそのことを自問自答すべきだ。そうしないと、被災者の払った犠牲は無駄に帰する。それでは申し訳がたたない。不条理すぎる。そして、私自身具体的に何をすべきか、あの日から1ヶ月してなおも煩悶は深まるばかりである。