花の季節に寄せて

 拙宅は住宅街の四叉路の角にあり、真ん前は駐車場なので一日中お日様に恵まれている。南側と西側は小・中学生の通学路にもなっていて朝夕子ども達のおしゃべりも聞くことができる。通勤の人も駅に向かってたくさん通る。いつ頃からか覚えてはいないが、拙宅前を通る人たちにせめて一目でもいいから花を見て心を癒してもらおうと思い立った。しかし、その割にはささやかであることをお断りしおこう。
 西側の玄関先と、南側の庭や駐車場の隅にほとんど購入してきた草花を飾っているだけのことであるが、これからの主流は、サフィニアサフィニア・ブーケ、カリー(カリブラコア)、ペチュニアマリーゴールドサルビアなど、いずれもポピュラーな花ばかり。
 サフィニアは一本の茎で大鉢一杯に底く、広く花をつける。イエロウ、ピンク、ディ−プパープルの3種。サフィニア・ブーケはサフィニアと違うのは花がやや盛り上がるように咲くことである。ブーケのように。
 カリーもサフィニアに似ていて花が小さいだけのようだ。これらはいずれもナス科の仲間。ペチュニアは花の咲き柄を摘み取ってやるとどんどん花を付けるので重宝だ。南米が原産地とのこと。
 その他に、ノースポール。これは昨シーズン種子をあちこちに蒔いておいたところ芽を出してくれたのでプランターに集めておいたのが咲き始めた。マーガレットも白い花を付け、次つぎに咲いている。ゼラニュウムは庭で冬を越してこれから咲いてくれるはずだ。
 私のお気に入りの一つ、ベコニアは小さな温室で冬を越したもので、日陰においてあるので葉が青々していて、白とピンクの花が咲いている。陽に当てると葉が焼けて瑞々しくなくなるようだ。あとは路地植えの真っ赤なツツジがここ2週間以上も咲いている。ふだん、流した水をよく吸い込んでいるせいかも知れない。
 ところで、玄関を入ったところに、星野富弘さんの詩画集カレンダーを掲げて、毎日のように眺めては癒されている。
 今年度のカレンダーの1、2月用は枝にただずむむくむくした3匹のすずめ。3、4月用は二本のヒヤシンス。5、6月用はイチヤクソウ。これは細い茎を伸ばした先に小さな白い花を付けている薬草である。7、8月用はハゲイトウ。9、10月用はキンモクセイ。11、12月用は冬の野菊、が描かれている。いずれも大胆で力強く、勇気づけられる。それでいて実に繊細である。そして、絵には詩が添えられている。
 イチヤクソウの絵には和洋語でこんな詩が書かれている。題は、BECAUSE I LIVE
I feel pain because I live. I have worries because I live. I get hurt because I live. Therefore I'm really living.  痛みを感じるのは生きているから 悩みがあるのは生きているから 傷つくのは生きているから 私は今かなり生きているぞ 
 星野先生についてはご存知の方が多いので解説等は必要ないが、昨年11月で、富弘美術館の入場者が600万人に達したことと、先生は絵を描き、詩を綴り39年、65歳の春を迎えていることだけを書き添えて、BECAUSE I LIVE を改めて鑑賞したい。
 我が家の花だけではいかにも心もとなく、星野先生が描いた花と詩に応援をしてもらい「花の季節に寄せて」を閉じることとする。