プロゴルフツアー観戦記

 自宅から2キロほどの千葉CC梅郷コースで開催されているダイアモンドカップゴルフ2011、最終日のきょう、雨中決戦が展開されているところであるが初日から3日間観戦してきた。

 まず、何といっても石川遼の存在感である。つい最近、世界ランキング49位となり、来月開かれる全米オープンへの出場が決まったばかりでもあり、自他ともに認める実力者である。日頃から人気に溺れず常に技術の向上に努めているからこそ、19歳にして日本ゴルフ界の牽引者になっているのであろうと思う。
 まだ余り知られていないと思うが、来年度から使用されるある出版社の中学校英語教科書(2年用)に石川が小6の時に書いた「将来の夢」が教材として堂々登場している。この若さで、教科書に採り上げられる例は希有であることからも彼の社会的存在は偉大である。
 石川は、初日は首位と4打差の−2。ドライバーの飛距離といい、ラフやバンカーからのリカバリーといい、「さすが〜」とギャラリーを魅了するプレーが随所にあってツアーを盛り上げた。
 そして迎えた2日目。402ヤードの5番ホールのグリーンはピン手前の下り斜面。4ヤードほどオーバーしてオンしたものの、上りバーディパットは2.5ヤードオーバーし、返しパットも入らずボギーにし、スコアーはイーブンに。「調子よくないなぁ」と感じさせる場面だった。その後もパットに苦しみ、結局、イーブンでホールアウト、その時点で予選落ちが確定的となった。
 その後すぐ石川は、練習場で父親の指導のもとパット練習を始めた。斜面を変えつつ、繰り返すパット練習。何時間続いたか確認はできなかったが、練習量はふだんも半端ではないと言われている。彼は心の苦しみにも耐えて、いつも前向きの発言をして自らを鼓舞している。6月2日からの日本ゴルフツアー選手権で出直すであろう石川の姿を見てみたい。
 その日本ゴルフツアーで一昨年初優勝したのが石川の隣の吉川市出身五十嵐雄二である。苦節プロ18年目、40歳であった。よくぞ耐え抜いたプロ根性である。5年間のツアー出場権をもらい昨年からツアーに参戦している。今次、初日は+5と出遅れた。2日目はやはりバーディチャンスを逃しながらもイーブンで戦い+4のまま、善戦したものの予選落ちした。
 彼も練習の虫であるが、2〜3ヤードのパットを外しては決勝進出を阻まれている。パットは上から、下からそれぞれ一回ずつ見て、決断し、すぐ打つタイプ。「これが彼のリズムだけど・・」と、同級生でキャディを務める榎本さんも悩んでいる。来週のツアー(茨城・宍戸ヒルズ)は彼にとっても正念場である。きっと納得のいくプレーをするのではないかと密かに期待し、応援に行くことにしている。たまたま二人のプロとはある縁でず〜っと応援している。
 二人のプロがいない3日目。ギャラリーは予想以上に少なかったが、小田孔明横尾要、藤田寛之、片山晋呉金度勲河井博大たちが凌ぎを削りあった。中でも、藤田は小柄ながら飛距離もあり、精度も高く、また実直で名実共に人気がある。
  
 これは446ヤードの8番ホール。平凡に見えるグリーンだが大きく波打っていて多くのプロはパーセイブで凌いでいた。梅郷コースは他もこんなホールでプロを悩ませた。
 3日間観戦して感じたことは、飛距離や打球の正確さ、マナーなど、「さすがプロ」ということ。ドライバーの飛距離には度肝を抜かれたし、深いラフやバンカーからのオンも感動的。パットは上下、左右と時間をかけて実に慎重。相手のラインはどんなに遠回りしても踏んだり、またいだりしない。ギャラリーの拍手には軽く会釈して応える、など見ていて感じが良かった。服装は全体的に地味であった。全般にもう少し楽しめる服装もいいのではないか。
 一方、ギャラリーはどうか。数年前に比べるとマナーはよくなっていると思う。静止の指示が出るとほぼ停止するし、声も出さない。どの選手にもいいプレーには拍手を送る。しかし、まだまだ根本的にゴルフの普及や楽しみ方、マナーのあり方など、そのレベルアップに努めるべきである。素人ゴルファーの自分にとってもゴルフの楽しみ方を再発見できそうで、疲れたけれども何一つ無駄のないツアー観戦であった。優勝は小田孔明。