大学のキャッチコピー

 今、各大学は新年度の学生獲得に必死である。新聞や電車内、あるいはホームページに大学PRのキャッチコピー(catch copy 広告文・宣伝文句)が多く目に付く。
 「2011年、18歳の決断」城西大学  「約束します、成長力」神奈川大学  「未来に繋がる自分へ繋げる」駒沢大学  「社会知性の開発をめざす」専修大学  「好奇心が動き出す。新しい自分を見つけるために。」大東文化大学
 いずれも受験生の興味・関心をそそるようなキャッチコピーであるが、具体的な大学の教育理念や教育方針等は敢えて出さない。従って、大学名を隠すとそれがどこの大学かはわからない。「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは・・・」のような企業広告とは一線を画している。
 「熊谷キャンパスがグッドデザイン賞受賞  モラリストXエキスパートを育む。」立正大学心理学部  キャンパスがどこにあり、どんな風かは受験生には関心が高い。その後に「・・・X・・・」と本音を。心理的?     
 「収穫祭2011 見る!ふれる!体験いっぱい!」東京農業大学   これは「大根踊り」で有名な大学なので、ずばり「収穫祭・・・・」と、分かりいい。
 「大切なコトを教えたい。大事なヒトを育てたい。」千葉経済大学   「学生と先生のキズナが強い大学」江戸川大学 
 この二つのキャッチコピーはカタカナを敢えて取り入れていることに注目したい。コトやヒトは漢字で書いても易しいのにカタカナにしてあるのは何故。「絆」は今次震災後よく使われているが、もともと馴染みが薄い漢字なのでカタカナなのか。いずれも何かを狙っているはず。他にもカタカナを敢えて使用している例はある。
 「早稲田からWASEDAへ」早稲田大学   なかなかしゃれていて、いろんなイメージを抱かせる。
 「全社会の先導者たらん」慶応大学   創立者福沢諭吉)を彷彿させる。
 「Men and Women for Others, with Others 」 上智大学   いかにもクリスチャン大学らしい。
 「わたしたちのまち、大阪とともに。」 関西大学    「語学のその先へ、卒業生の選択」 関西外語大学  「未来を生み出す人を」をこれからも。」 立命館大学   
 関西の大学はどうかと思い若干ホームページを覗いてみた。首都圏ともさほどの違いはなさそうだが、工夫を凝らしていることは確かである。
 ここまで紹介した大学はいずれも私大ばかりである。私大は経営そのものも係っているので学生獲得は至上命令になっている。だから真剣だ。では、いわゆる国立大学はどうか。
 「つねに、より高きものをめざして」千葉大学   「研こう! 知と技を」埼玉大学  「生きる。ともに」 東京大学   「勇気ある知識人」 名古屋大学   
 やはり、私大と特に変わっていないようだ。しかし、国立大学法人になったのだから、もっとPRすべきだし、おもしろいキャッチコピーが現れてもいいのではないか。なお、北海道大学京都大学にはそれらしいキャッチコピーは見あたらなかった。
 どこの大学もキャッチコピーだけで学生を獲得しようとしているわけではないだろう。それぞれ教育理念があり、専門性があり、教育方針がある。本当は学生にそれを理解して入学して欲しいはずだ。メディアを通してのキャッチコピーはその前段として、受験生に呼びかける手段に過ぎないと思う。しかし、このキャッチコピーには各大学の理念や熱意や温かさが見え隠れしている感じもするので侮れないと思う。