900坪の家庭菜園に驚嘆!

 友人のTさんは農家から何と900坪の畑を借りて家庭菜園6年目を迎えている。すっかり地元に定着して、近所の方からも信頼され、慕われている。。先般、その菜園を訪問する機会があって、ただただ驚くばかりだった。

  まず驚いたのはご覧のとおりの広さ。家庭菜園の域をはるかに超えている。サトイモ、ヤツガシラ、サツマイモ、トマト、ナス、キュウリなどお馴染みの野菜をゆったりと栽培している。週3日は終日、畑で過ごす日々。奥に見えるビニールハウスは農機具置き場とTさんの休憩所。

 これはEM菌(有用微生物群)を活用して作った有機肥料を貯蔵しているタンク。家庭残飯、おから、給食残飯(乾燥したもの)、木くずなどを貯蔵して発酵させ有機肥料を作っている。農薬や化成肥料を使わない有機栽培、つまり、自然農法に挑戦しているのである。相当な気力・体力を要するという。
 そして、さらに感心したのはTさんが畑の地主さんはもとより近所の農家とのお付き合いを大切にしていること。畑へ行ったときは必ず顔を出してあいさつを交わし、世間話をしてくる。先般、私もTさんに連れられて地主さんやそのおとなりの農家へ行き、あいさつをしたがとても喜んでもらえた。
 加えて大事なことは、他の農家に迷惑をかけないように除草をしっかりとすることだという。確かに、専業農家は雑草一本たりとのばしていない。雑草があるとその種が飛んでいき増える元になるから農家の人はその点はきびしい。Tさんはそのことを充分弁えて除草に余念がない。近所の方々から信頼され、慕われている所以である。

 Tさんは極めて健康である。本人の話では健康野菜のお陰だという。一般的な野菜の他に、ヤーコン、キクイモ、ウコン、ブルーベリーなど健康野菜も栽培している。これらは、糖尿病、がん、高脂血症、便秘、胃腸病等に効く。それぞれ調理方法も熟知していて、ウコンは自ら粉末にして常用しているという。私も分けてもらい飲んでいる。
 Tさんは小学校長を最後に退職し、60歳半ばから家庭菜園を始めた。しかも、なぜこんなに大規模経営をしようとしたのか。友人ながら明確なそのわけは分からずじまいでいる。Tさんが書いた資料に「雑草」というある詩人の詩が紹介されている。もしかするとこれに何かそのヒントがあるのではないか。以下、その一節である。
 雑草とよばれる植物たち その実をたべる虫がいる その虫をたべる鳥がいる  その鳥をたべるタカがいる そのタカをのむ海がある その海をだいてまわる地球・・・だれも水をやらないのに 日でりにもびっしりしげって じぶんでじぶんをまもって 大地をがっしり陣どって 雑草とよばれる植物たち・・・
 もしかすると、Tさんの家庭菜園のバックボーンは「雑草魂」かな。
 Tさんはいつの日か地主さんに借りている畑を返さねばならない。いつでも更地にして返せるように栽培を心がけているという。畑の一角にブルーベリーの木がたくさん植えられている。その場所は地主さんに相談して決めている。借地のお礼にブルーベリーを置いていくという。いかにもTさんらしいなぁと感心した。