10月の空と雲

 ここ関東南部の10月1日の朝は、大型台風17号が夜半に通りすぎて雲一つない快晴だった。空はすっかり秋空に変わっている。

 
 この辺りからも筑波山(877m/茨城県)がよく見える。小学生でも中腹から頂上へ登れるので遠足コースとして重宝がられている。また、近年は、つくばエクスプレス鉄道で首都圏から「つくば」まで50分ほどなのでますます人出が多くなっている。これから紅葉と夜景が人気。久しぶりに筑波山に近い千代田CCでゴルフ。

 上は常磐高速道路からの筑波山。昼近くからゴルフ場の空に雲があちこちに顔を出してきた。

 「 雲」   丘の上で としよりと こどもと うっとりと雲を ながめている
 「おなじく」  おうい雲よ ゆうゆうと 馬鹿にのんきそうじゃないか どこまでゆくんだ ずっと磐城平の方までゆくんか  

 
 これはご存知、山村暮鳥(1884〜1924)の詩である。心身ともに苦しい現状から逃れて自分も雲と一緒に行けたら・・・という思いを詠ったといわれている。磐城(福島県)に住んでいた頃、牧師でもある暮鳥は信者とうまくいかず苦悩の日々を送っていた。磐城平は筑波から北へおよそ100km余りで、空はつながっている。

「ある時」  雲もまた自分のようだ 自分のように すっかり途方にくれているのだ あまりあまりにひろすぎる涯のない蒼空なので おう老子よ こんなときだ にこにことしてひょっこりとでてきませんか

 
 牧師であり、詩人の暮鳥は人間として思い悩む様子が窺える。わずか40年の生涯だった。

 日に日に雲は高くなり、あのいわし雲がみられる。富士山の麓に沈む夕日と夕焼けもきれいだ。こうして、いよいよ自然は秋色に包まれていく。