石川プロ大健闘、マスターズ38位!

 世界男子ゴルフ今季メジャー第1戦、第77回マスターズトーナメントは日本時間のきょうの朝終わり、石川遼プロは最終日を−4でまわり、通算+4、38位タイと大健闘。優勝はプレーオフを制したアダム・スコットで、オーストラリアに初優勝をもたらした。優勝候補のタイガー・ウッズ(米)は−5で4位タイだった。
 アメリジョージア州オーガスタ・ナショナルGCのマスターズは世界中のゴルファーあこがれの夢舞台だ。世界に放映され、また連日ファンが詰めかけ拍手と大歓声に包まれている。あの美しい環境とは裏腹に難しいコース設定に名手たちが泣かされる。フィル・ミケルソン(米)はなんと+9、54位、韓国のチェ・キョンジュは+5、46位と苦戦。若くしてランキング上位のロリー・マキロイ(北アイルランド)は+2、25位タイだった。
 プレーオフで涙をのんだアンヘルカブレラ(アルゼンチン)はその2ホール目のバーディパット(フック)がカップの縁を転がり10cmほど行き過ぎて止まった。多分、ホールのまわりにも微妙な傾斜が隠されていたのであろう。カブレラはクラブを頭上に放って悔しがった。一方、スコットは、2打目をいい位置に落としていたが実に慎重に4mのバーディパットを沈めた。それでも相当なプレッシャーの中でのショットで彼の生涯で最もしびれた瞬間だったろうと思う。
 マスターズ5度目の石川プロの夢は「マスターズ優勝」だ。しかし、現実は極めて厳しい。特に、今シーズンはアメリカツアーに参戦しているが予選落ちが多く、やや自信をなくしていたきらいがあり、マスターズ38位でやっと本来の自分を見出せたのではないか。彼は当然のことながら、これに満足することなく「マスターズ優勝の夢」を追い続けていくだろう。その意味で今次マスターズの健闘は価値がある。
 彼は21歳。15歳で最年少ツアー優勝始め数々の記録を塗り替えるという劇的なデビュウをしているだけにマスコミやファンの期待が大きく、すでに日本ツアー10勝はしているものの常に優勝に絡まないと満足してもらえない境遇にある。それでも耐えに耐えて埋没することなく現在に至っている。マスターズ初優勝のスコットは32歳、カブレラ43歳、ウッズ37歳、ミケルソン42歳。これまでメジャー14勝でジャック・ニクラウスの18勝を追う名手・ウッズでも簡単には勝てないのがゴルフなのだろう。
 石川プロの精神を支えているのはこれまでの家庭にある。つまり、実に平凡で暖かい家庭だ。父親はゴルフを通して子どもの教育をし、母親は家事を通して親子の絆を育んできている。両親は3人の子どもを全く平等に扱っている。石川プロの場合、苦境に立たされた時に、あるいはここ一番の緊迫する場面では家庭によって培われた精神力が技術を後押ししてくれているように思う。
 
 とにかく世界の名手たちのように息の長いゴルファーでいてほしい。そのこと自体たいへんであり、厳しいことを常に噛み締めながら、プレーを通してゴルフの難しさや楽しさを多くのファンに示していってほしい。それを追究するのがプロゴルファーの仕事であり、ゴルファー人生である、と!