北国の春

 関東地方は、時々ひんやりするときもあるが、文字通り春爛漫のしのぎやすい季節に。北国はどうだろうか。

 これは4月中旬の小樽地方の景色、今ごろはもう春が近づいていることだろう。その光景をリアルに詠んだのが詩人・丸山薫の「北国の春」である。長年この時期に、この象徴的な詩を思い起こし堪能する。
         
                 北国の春       丸山 薫
            どうだろう
            この沢鳴りの音は
            山々の雪をあつめて
            轟々と谷にあふれて流れくだる
            このすさまじい水音は
 
            ゆるみかけた雪の下から
            一つ一つ木の枝がはね起きる
            それらは固い芽の珠をつけ
            不敵なむちのように
            人の額を打つ


            やがて 山すその林はうっすらと
            緑いろに色付くだろう
            その中に 早くも
            こぶしの白い花もひらくだろう


            朝早く 授業の始めに
            一人の女の子が手をあげた
            一一先生 つばめがきました


 丸山薫(1899年〜1974年)は、詩人として著名であるが、短編小説や評論、随筆などでも卓越した才能を発揮している。これは、ちょうど今ごろの北国の春を詠った象徴的な詩であると思う。詩人は終戦前後の一時期、山形県疎開し、国民学校で代用教員も務めている。

こちら関東地方は・・・・

  高木のアカメヤナギ          オオデマリ (いずれも栃木県足利市にて)


❏「5月」の異称  皐月 皇月 橘月 梅月 啓月 雨月 暑月 午月 星月 授雲月 多草月 稲田月 端午月 月不見月 仲月 夏中 薫風 芒積