小椋佳、生前葬コンサート

 小椋佳さんは今夕、NHK BSプレミアム「日本のうた」で石川さゆりさんと共演し、相変わらず、落ち着いた歌唱は魅力的だ。その小椋佳さんは、古稀を迎える来年9月に「生前葬コンサート」を開く。
 それで引退、ということでもなさそうだが「あまり年を取ってからテレビに出て老醜を見せたくない」らしく、どこかで一線を引きたいという思いはあるようだ。また、ご本人は「葬儀はやらなくていい」という考えだ。
 49歳で銀行を退社し、作詩・作曲家、歌手として創作活動に専念。胃がんの手術(59歳)も乗り越えて、これまでに「シクラメンのかほり」はじめ約2000曲を作り、楽曲提供は約300人に上る。私も小椋佳ファンの一人で、今でもCDで彼の音楽を楽しんでいる。その中で、次の曲がお気に入り。(1981年 作品)
              恋、してしまうもの
        今年始めた 鉢植えの 出窓近くの 夕顔の
        一輪ごとの 白い花  閉じる季節の もの足りなさを
        逢ったばかりの あの人に 預けるだけで いいものを
        恋はするもの されるもの いえいえ 恋はしてしまうもの
 
        何もしてない 時がふえたり 電車ひと駅 乗り過ごしたり

        
        もう何年も 引き出しの 奥に寝ていた ノートなの
        半分以上 白いまま 次の事件を 待っていたよう
        あなたのことを 書き始め あなたのことが 書き切れず
        恋はするもの されるもの いえいえ 恋はしてしまうもの

        
        壁の暦に しるしつけたり 電話鳴るたび鏡を見たり

        
        なぜかあなたの ことだけは のどにつかえて 石のよう
        とくに親しい 友だちに 華やぐ声で 話したいのに
        季節待ち切れず 咲くキンセンカ 
        恋はするもの されるもの いいえ してしまうもの

 
 「生前葬コンサート」は日替わりで、1日25曲ずつ、4日間で100曲歌うことにしているが、「シクラメンのかほり」のような知られている曲は歌わないという。すべて、自分が好きで、満足する曲のみのようだ。果たして「恋、してしまうもの」は歌ってくれるだろうか。