自民大勝、民意・民度は反映したか?

 21日に行なわれた参議院選挙は自民党が圧勝し、その分民主党が惨敗した。新勢力は定数242に対し、自民115(+31)、民主59(ー27)、公明20(+1)、みんな18(+5)、共産11(+5)、維新9(+6)、社民4(ー1)、生活2(ー6)などである。昨年12月の衆院選に次いで自民が大勝したことになる。民主党が大勝した(2009年)時と真逆の結果になった。
 「自民の大勝は民主の没落のお陰だ」と自民幹部はつい最近までが語っていたが、都議選も含めこうまで連勝が続くともう「自力だ」と思い始めているのではないだろうか。衆参あわせると自民は409で定数(722)の56%に相当し、ねじれも解消した。国民は本当に自民の「1強」を望んだのだろうか。
 今次選挙戦では、自民は国民の反発を買いそうな原発、 TPP、憲法改正、消費税値上げなどは引っ込めて、アベノミクスによる「経済効果」を宣伝することに徹した。確かに、原発は再稼働にしても、廃炉にしても安全・財政両面において説得力がない。TPPも交渉がうまくいかないと暗礁に乗り上げてしまう。現行の平和憲法を国防の名の下に改正したら、中国や韓国とうまくいかなくなる。
 それでも自民は、国民は今の生活がよくなるよう望んでいることを先取りして、これらの問題を争点からはずしたとしたら随分と国民を見下したことにならないか。つまりは、民度はその程度と見極わめたのであろう。「自民大勝」が予想されていたのだから、堂々と正面から原発等を取り上げて「それでよかったら支持して下さい」と言えばいいのにやらなかった。あくまでも「勝敗』優先だった。
 原発等の問題は、いずれも将来的に今の若者たちやこれから生まれてくる孫子たちの生活や人命に関わることばかりで「負の遺産」になりかねない。それでも国民は、100年先を語る政党や政策よりも、今の「経済」優先の方がいいと考えるだろうか。政治家は国民にもっと大所高所から問題意識を以て問いかければ国民の目線も高くなり、未来を見通した政治を望むようになるはずである。それくらいの民度は存しているはずだ。
 残念ながら、結果的に未来を見通した崇高な政治や政策を望む多くの民意を救い上げるような選挙にはならなかった。投票率は52、61%で戦後3番目に低かったという。棄権をかばうつもりはないが、争点があいまいなことや支持する政党がないからではないか。ここにも真の民意が隠れているように思えてならない。頼れる野党が存在しない中での「自民1強」なので、どうか独走・暴走はしないで欲しい。
 国民の真の民意・民度が反映する選挙こそ孫子に残したいものだ。