子ども科学電話相談

 NHKラジオ第1で30年も続いている長寿番組の一つ。子どもたちの夏休み期間の7月〜8月にふだんの番組を休んで放送している。質問は4、5歳から小学校6年生の子どもたち。回答者はそれぞれの分野の専門家たち。
 「鳥には飛べる鳥と飛べない鳥がいるのはどうしてですか」(小3、女子)
 「どうして鳥が飛ぶのかというとね、一つには、敵に襲われた時に逃げるためです。それから、えさを取るとか、白鳥のように寒いところから暖かいところへ飛んでいくためです。そのために、飛ぶ鳥は筋肉を鍛えて体重を軽くしているのです。飛べない鳥は、例えば、ダチョウは速く走れるので敵に襲われても逃げられるし、えさを取りにも行けます。ペンギンも飛べない鳥ですが、水中で素早く泳ぐことができるので不自由はありません。それぞれの鳥が飛んだり、走ったり、泳いだりして生きているんだよ、わかりましたか」
 つい最近の放送の質問と回答例であるが、なかなかおもしろい。鳥や動物にとって、飛んだり、走ったり、泳いだりするのは「生きていくため」にそれぞれ進化したという回答。「ニュージーランドの楽園に住むキウイという鳥は気候もよく、敵もいないので飛ぶ必要がなく飛べない鳥になった」という蛇足の話も愉快だ。
 回答者は、電話なので子どもたちの質問の真意を図りかねる場合もあって大変そうだ。また、ふだんは学生や大人を対象に話しているので、専門語がでてきたり、難しい説明になってしまうこともある。噛み砕くことの難しさだろうと思う。その点幼稚園や小学校の先生はさすがにうまい。
 「犬は口を開けてハーハーしているけど舌がかわいて苦しくないのですか」(小1、女子)
 「人間は暑くなると体中から汗を出して体にたまった熱を出します。犬は足の裏からしか汗をださないので、口を開けてハーハーしながら熱を出しているんだよ。わかったかな」
 これも子どもたちからよく出る質問だ。回答もほぼ同じだが、「どうして犬は体から汗を出さないのか」という疑問もわいてくるだろう。私も分からない。多少難しくとも回答はその辺りまで突っ込んでもいいと思う。多分、質問者のそばで親や家族が一諸に聞いているのでさらに噛み砕いてくれるだろうから。
 「富士山は高い山で太陽に近いのにどうし寒いのですか」「アリはどうして列を作って歩くのですか」「魚は濁った水の中でも目が見えるのですか」「鳥の卵はどうして丸いのですか」「私の家にツバメが巣を作ってくれません、どうしてですか」「昆虫の目は15000個もあると図鑑に書いてありますがだからよく見えるのですか」等々。
 子どもの「どうして?」は成長の大事な営みの証しであると思うので、大人は面倒がらないで教えるなり、自分で調べる方法を教えるようにしたいものだ。
 この番組が30年も続いているのも子どもたちの「どうして?」のお陰であり、それに答える大人の責務が存在するからだろう。


「8月」の異称  葉月 壮月 桂月 素月 観月 拓月 西月 木染月 秋風月 月見月 雁来月 仲秋 燕去月 正秋 秋高 ささはな 竹春 白露 さ月