高齢ゆえに自立しないと

 先般、70代前後の夫とそれぞれ2人暮らしの奥さん方からこんな話を聞いた。
 Aさん「この間ね、午前10時ころ用事ができて出かけ、予定より遅くなって午後2時頃に帰宅したら、主人は昼食も食べずに待っていました。何か作って食べているかと思っていたのに・・・」。Bさん「私が日中でかけるときはいつも、主人の昼食を作っておきます。炊事はやらない人なので・・・」。Cさん「家の主人は台所に入って食事を作ることはほとんどありません」。
 Aさんの主人は自営の職人で食事はすべて奥さんの仕事になっていた。数年前に自営を止めて年金生活になったが、相変わらず食事は奥さん任せにしている。Bさん、Cさんの主人はともに会社勤務で、やはり食事は奥さんの仕事で、退職しても全く同じ考え。Cさんの主人は「男子厨房に入らず」のタイプのようだ。
 奥さん方は「主人が食事を作ること」はあきらめている様子。主人たちは年齢的なこともあるが、「食事は女性の仕事」と決め込んでいるので、その考えを変えることの方が困難だという。「だから、もう今さら教えたりするのは面倒だから自分でやり切る」と腹をくくっている。
 でも、もしも奥さんに先立たれたら、食事は作ってもらえないし、掃除やゴミ出しや買い物だって自分でやることになる。それらは生きていく上で確かに重要なことではあるが、それだけで行き詰まっては元も子もない。人生にはその上でもっともっとやることがあるのだから。
 主人たちよ、仕事が終わって時間ができたのだから、食事を作ることに関心を持とうぜ。ご飯は炊飯器で炊ける。みそ汁は2〜3種類の野菜とみそを入れればできる。目玉焼きは実に簡単だ。焼き魚だってグリルがあるし、電子レンジもある。もうこれだけで、手作りの食事は誰にでもできる。
 要は「やる気」の問題かな。もしも、Cさんのように「男子厨房に入るべからず」などというふた昔も前の考えが呪縛になっているとしたら、自ら一刻も早く呪縛から解放すべきである。せめて、留守中の自分の食事くらいは自分で作って食べるようにしないとね。やろうと思えばできることだし、その上奥さんの負担が軽くなるので一石二鳥の効果がある。
 男性が食事を作ったり、買い物をしたり、掃除や洗濯などもどんどんやっていくことを大いに奨励したい。高齢者になっても奥さんに頼りっ放しでは情けない。自立することによって自分自身の人生をもっと楽しみたいものだ。自戒の念を込めて一筆啓上。