やっぱり、イチロウはすごい!

 ヤンキースのイチロウは、8月21日のブルージェイズ戦で日米通算4000本安打を達成した。その瞬間、ヤンキースタジアムはプレーが中断し、イチロウの回りに選手が集まり祝福した。イチロウは観衆に向って深々と頭を下げた。MLB(大リーグ)で4000本以上を打っているのは、ピート・ローズ4256本、タイ・カップ4191本の2人だけなので、イチロウは3位に当たる。
 ところが、当のピート・ローズはイチロウの偉業を認めながらも「4257本打っても大リーグ記録に並べるべきでない」と語る。それは、アメリカ国民の多数の見方でもあるようだ。つまり、もともと、日本とアメリカという違う組織の記録なので、一様に比較はできないというのである。確かに、MLBには世界各国から選手が参入しており、自国時代の記録をも一諸にしたら、MLBの権威が不明確になるという問題が生じることから、ピート・ローズの発言もうなずける。
 イチロウの4000本安打のうち、MLBでは2722本で歴代59位。MLBには3000本以上が28人いることからも、アメリカ国民は日米通算「歴代3位」には違和感があるのだろうと思う。MLBの公式記録として認識すべきか、波紋が広がっているところだ。イチロウは40歳になるが、あと3〜4年で、日米通算とは言えピート・ローズの記録を抜くことも可能だ。どう評価されようが挑戦してもらいたい。
 イチロウがすごいのは、MLBで、10年連続で200本安打を記録したことだ。また、2004年には、それまでMLB年間最多安打257本を抜いて262本打ったときは、アメリカ国民も素直に称讃した。これはイチロウの紛れもないMLBの「実績」であり「記録」である。これだけでも充分誇れる日本選手だ。
 こうして見ると、4000本は「実績」であり、歴代3位の「記録」にはしないというのが国際的コンセサンスであろうと思う。
 しかし、国内で見る限り、イチロウの日米での活躍ぶりは「すごい」の一語に尽きる。それは、彼独特の野球哲学をもとに、人一倍トレーニングをしている成果だ。計り知れないプレッシャーをはねのける精神力も培われている。彼は会見で、「4000本打つには、僕の数字でいうと8000回以上悔しい思いをしてきている」と話しているが、彼の哲学の一端であろうと思う。
 イチロウは、MLBの名門ヤンキースでこれから先、どんな記録を作り、どんな言葉を発するか、楽しみにしながら注目していきたい。


「9月」の異称 長月 玄月 菊月 祝月 詠月 霜月 紅葉月 竹酔月 苗刈月 小田刈月 暮秋 晩秋 残秋 涼秋 季白 暮商