首都圏同期会

 きのう、都内で首都圏在住の高校の同期会があった。このところ、毎年開催している。今回の参加者は20名。
 いつも、開会に先立って物故者へ黙祷を捧げている。今回は、スポーツ万能で健康そのもののMさん一人だったが、みんな「え〜」と言って信じようとしなかった。
 今年の1月14日、関東地方に雪が降った。埼玉に住む彼は、自宅で雪かきをしていると、急に「気持ちが悪い」と言って気を失い、病院に運ばれたが帰らぬ人となった。高校時代は長距離選手で、3年生のときの校内10kmマラソンは1位だった。社会人になるとゴルフを始めて、同期の中でも飛距離、スコアともに抜群だった。輪行もしていた。だから、みんな信じなかったのである。
 わが同期生は、みんな優秀で、大企業の社長や重役、大学教授、小・中・高校教師、医師などに就いて社会に貢献している。亡くなったMさんは1級建築士だった。ところが、中には現役時代に企業戦士よろしく働きすぎて、今になって体調を崩している仲間もいる。
 某県の幹部だったNさんは、退職後も天下りで70歳過ぎまで働いた。酒も飲んだし、ヘビースモーカーだった。最近、睡眠時無呼吸症候群と診断され、睡眠時は大きなマスクをして酸素を吸入しながら就寝しているという。おまけに、前立腺肥大もあり、「おれの友だちはお医者さんだよ」と笑いながら話していたが、すべて馴れてしまい苦にならないらしい。
 民間会社の幹部になり、退職後はやはりつい最近まで傍系会社へ勤めていたTさんは、肝臓にがんの腫瘍が見つかり、2カ所からそれぞれ7cm余摘出したという。彼は、酒もたばこも大好きで、それでも「がん」は信じられなかったと悔しがった。今回は、ただ一人ノンアルコールを飲み、二次会も遠慮して帰宅した。
 日本百名山をすべて登ったOさんは、もう山には登っていない。脊柱を痛め、とても山歩きはできなくなったという。何年も重い荷物を背負っての登山。ついには脊柱に負担がかかり過ぎたのであろう。服薬しながら痛みを止めているという。
 Kさんは大会社の重役を務め、子会社にも勤めたが早めに退職し、ゴルフや絵画、ハイキングなどの趣味を楽しんでいる。絵画では高いレベルの賞をもらっている。体調もいいようだ。残念なことは奥さんに先立たれ、未だに寂しい思いをしているとしみじみ語る。
 昨年、同期会を欠席したSさんは、その頃お墓参りに行き、突然倒れて墓石に顔面を打ち付けて鼻骨を骨折。転んだのは、躓いたりしたのではなく「急に失神した」のだという。これにも驚いたが、「何が起こるか分からないね」とみんなため息をつく。「すべて加齢のせいだ」と笑った。
 こんな話をしているが、みんな明るい。いろんなことを経験済みで、少々のことではへこたれない強靭な意志がある。同期生故に連帯感もある。「おれだけじゃないよ」と。また、同期生同士の人間関係は特異で、希望を与えてくれるし、懐郷の念に似たものも醸し出してくれる。だから、時々会ってみたくなるのであろう。
 来年も、同じ10月10日、都内のホテルで。幹事もすんなり決まった。