認知症の行方不明者1万人時代に

 これは平成24年度の調査結果である。認知症やその疑いがあり徘徊などで行方不明になったとして警察に届けられた人が9,607人、おおよそ1万人。NHKではさらにその実態を取材したところ、そのうち死亡351人、行方不明のままの人208人であることが分かったという。必ずしも行方不明者全員が警察に届けられているとは限らないので、実態はもっと多いはずである。これは新時代の新しい社会現象の一つといえるのではないだろうか。
 この件に関しては、決して他人ごとではない。市の防災無線で、高齢者の行方不明についての放送がかなり多い。その日のうちに保護されたり、1週間後に見つかった例もある。中には夫婦で行方不明という例もあった。
 つい最近、80歳になる男性が深夜、パジャマのまま家を出て行方不明になった。家族や近所の人たちが協力して写真付きのポスターを地域の掲示板に貼り、さらに男性がふだん立ち寄っているところなどに出向いて情報収集に努めた。男性はその前夜、近所の友人に会って雑談をして帰り、特に変わった様子はなかったという。
 家族は遅くも2,3日中には帰ってくるだろう、と期待して待ち続けた。しかし、残念なことにおよそ20日後にあるところで死亡が確認されたという。今だに男性に何が起こったのか不明のままである。
 厚労省の研究班によると、一昨年(平成24年)、認知症の人は462万(高齢者の15%)、その予備軍ともいうべき軽度認知障害の人は400万人、計862万人であった。高齢者4人に1人が該当していることになる。やはり他人ごとではないと受け止めている。亡くなった男性の例もあり、ある日突然家出するかも知れない。
 きょう、あることで同年齢の仲間に会った。当然、話の合間に認知症や家出、病気などが話題になった。親しい仲間なので、「認知症と疑われるような言動に気づいたら、遠慮なく指摘し合おう」と笑顔で合意。確かに、時々、いろんな人と出会うことはそういう意味でも価値がある。家に中に閉じこもってはいけないと思った。
 また、その他に趣味や旅行、家族のだんらんなども予備軍にならないためにもぜひやっていきたいものだ。どうやら脳の活性化がいろんなことで高齢者には必要なようだし、そのためにお金を使うことに寛容でありたい。