増え続ける訪日外国人

 日本は最も近隣である中国と韓国とは相変わらず不仲のままである。しかし、今年9月の中国からの訪日人数は24万6千人(前年同月比57.6%増)、韓国21万7千人(32.3%増)と増えている。ちなみに、米国6万9千人、英国2万人、仏国1万3千人で、一国としては中国、韓国からの訪日人数はダントツである。国同士は不仲でも、国民同士は仲良くしている、という構図。これが良き民間外交であり、国同士の仲介役をしていることになる。政治本来の役割を民間が果たしている、とも言える。これに甘えず、政府は外交をしっかりやって欲しい。
 昨年の訪日外国人数は、1,036万9千人で、昨年比24.0%増。そのうち、アジアは811万5千人(27.0%増)、ヨーロッパ90万人、北メリカ8万人である。アジア各国が80%を占めていることになる。今年もすでに訪日人数が900万人に達しているので1000万人は確実である。一体、外国人にとって日本は何が魅力なのか。
 私は首都圏30キロに住んでいるので、よく上京する。先月、上京した際に上野公園に立ち寄ってみると、あちこちでたくさんの外国人を目にした。地図を手にして名所めぐりをしている人、散策している人、食事をしている人、中には大道芸や野外ライブをお披露目する人などがいて、すっかり日本に馴染んでいる感じである。日本人も特に違和感なく接している。実に、安心して、ゆっくり楽しめる空間がたくさんある。これが人気の証の一つではないだろうか。


             すべて上野公園にて撮ったものです 
 街へ出ても、比較的きれいだし、落ち着いていて治安もいい。ただし、物価は高い、と感じているようで、移動はできるだけ歩き、あとは電車を利用するなど贅沢はしないようにし、食事も簡単に済ましている。買い物を派手にしているのが中国人や韓国人のようだ。お金持ちが多いのか、秋葉原では電気製品を大量に買い込んでいるのをよく目にする。ここでは、中国人や韓国人が経済交流に大きく貢献している。買い物も日本人気の一つであることは確かある。
 ところで、外国人の人気観光地はどこかを調べてみた。1位は、伏見稲荷大社(京都),2位、広島県平和記念資料館、3位、厳島神社(広島)、4位、金閣寺(京都)、5位、東大寺(奈良)と関西以西ばかりである。首都圏では、8位に新宿御苑、9位、箱根彫刻美術館、10位、新勝寺/成田山(千葉)、となっている。全国各地に日本的な名所、旧跡、そして自然があり、観光には事欠かない。しかも、ヨーロッパやアメリカ、中国などに比べると移動距離ははるかに少ないのも人気の秘密かも知れない。
 日本の伝統的文化や文明を基盤にして人が住み、社会や生活が成り立っている日本。外国人にとって、日本は戦争が70年もなく、平和で文化的な国であるという印象を抱いていると思うが、これも国民の努力の賜であると思う。我々も海外へ出掛けることがあるので、どの国へ行っても歓迎されるように振る舞いたいし、それ以前に国交も盤石であってほしい。(訪日外国人数は日本政府観光局、観光地ランキングはTABIZINEの資料による)