進化し続けるイチロー

 MLBマイアミマーリンズで活躍するイチローは、先般日米通算4257安打(日1278、米2979))を放ち、歴代1位ピート・ローズの4256安打を抜いて話題になった。すごい記録であるが、ご本人は「日米合算なのでピート・ローズと対等の評価はされない」と冷静だ。それはその通りで、多くのファンも認めていることである。「それでも喜んでもらえる仲間がいれば嬉しいことだ」とも語った。当のピート・ローズは早くから「レベルの低い日本の記録と一緒にされたくない」とやや大人げない発言を繰り返していた。彼のNo.1記録は変わらないのに・・・。
 イチローがすごいのは、まさにMLBマリナーズへ移籍した初年2001年(28歳)に、242安打、56盗塁、打率 .350 新人王、MVPを獲得したこと。2004年には262安打、打率 .372でともに首位を占めるなど、10年連続200安打以上を記録し、堂々たるメジャーリーガーになった。その背景には、絶えず厳しく体調管理をし、いつでも最高の状態で試合に臨んでいると伝えられている。自宅には、数多くの機器が備えられていて体力増強、体調管理に努めている様子をテレビで目にしたことがある。
 今、さらに話題になっているのは、MLB在籍16年目で3000本安打まであと18本に迫っていることである。今日現在、2982本で歴代31位、7月中には達成できそうだ。現役では、アレックス・ロドリゲスが3077本で20位にいるのみである。ちなみに、日本のスーパースター長島茂雄は通算17年で2471本、王貞治は22年で2786本(もちろん日本プロ野球のみの記録)である。日本記録張本勲(通算23年)の3085本である。日米4282本はいかにも偉大である。
 イチローは今43歳であるが、「進化」を続けていることがプレーに歴然と現れている。そして記録に繋がっていることでも証明されている。前述の通り、機器を利用しての体力増強はじめ、多分食事や睡眠にも気遣い、メンタル面でもケアをしていると思う。野球についての発想や考え方も異色で、常に未知を開拓しようとしてる。だから、コメントも異色なのだ。そこに、年齢を超えた進化が生じるのだろう。
 人間は誰しも期待されている自己があり、ありのままの自己も存在する。人によってその乖離は様々であるが、妥協してしまえば乖離はそのままで、むしろどんどん開いていくのみであろうと思う。イチローは決して妥協しないから進化し続けているのだと思う。我々素人でも年齢相応に何らかの取り組みをすれば、それなりに進化する望みを感じさせられた次第である。