51.9%❎48.1%(72.1%)の凄まじさ!

 EU離脱❎残留(投票率)。この数字は、英国民の凄まじく逞ましい選択を物語っている。世界中の大半が「残留」を見込んでいたので、「驚き」と「落胆」が世界を駆け巡った。そして、世界中の経済や金融は大混乱している。それもはるかに予想以上である。英国民は、こうした影響力のあるEUからの離脱か否かという大胆な一大エポックに挑戦し、国を二分する結果に自ら驚いているのではないか。
 離脱により、EU全体の景気悪化、ポンド価格下落、英国の購買力低下などが指摘されている。離脱派はそれらを覚悟の上、EUに守られ、縛られることを嫌い、国家主権を回復しようとする意思を貫いたことに誇りを抱いている。かつての大英帝国を追い求めている。一方、残留派は、経済、金融、雇用の安定、EUの中での存在感、世界各国との連携などを大事にしていくことを訴えた。その価値観が高い投票率によって僅差となって現れていることからも英国民の勇気に度肝を抜かれた思いである。
 私が「あれっ!」と思ったのは、世論調査では、ほぼ拮抗していたのに、世界は「残留」を予想したことである。何をもって「残留」を有利と見たのか。もしかすると、「離脱」は多くのリスクを予想されるので「残留」が無難であるという希望論が世界世論を支配したのかな。それ以上に、英国民は様々な難題を抱えていて、一人一人が国の現状と未来を真剣に考え、悩み、ギリギリまで厳しい判断を迫られていたのである。英国民の心痛を読み取れなかったということになる。
 日本と英国に限って見ても、英国に日本企業は931社進出し、日本の直接投資は1兆7千億円であるという。決して他人事ではないにもかかわらず、あまり「離脱」の影響を真剣に受け止めていなかったように思う。早速、円高、株価暴落に見舞われ、政府、日銀は戸惑った。我々国民はもっと驚き、不安になっている。政府は国民を不安にさせてはならないと思う。今選挙中で、アベノミクスが成功か失敗かの次元で党首は論戦しているが、「離脱」がもたらす影響の方を優先して語ってほしい。
 英国民の選択の結果は尊重されるべきである。あとは、正式に「離脱」するまでの手続きを混乱することなく終えることであるが、新首相が誰になるのか、国内が一つになれるか、EUの対応はどうなるのか(甘すぎると後続国が出る?)など難問が待ち受けている。しかし、勇気あることを成し遂げた国民なので、離脱の実を世界に示してもらいたい。