新型コロナウイルス禍拡大

 新型コロナウイルス禍が世界中を震撼させています。昨日までに、感染者数は国外460,681、国内2、099 死亡者数は国外20、782、国内56名と日々増加傾向にあります。

 3月に予定されていた首都圏の大学の卒業式はほとんど中止し、学長が卒業生にメッセージを送っています。 

 <慶應義塾大・長谷川彰塾長> 人類は感染症に国境がないことを思い知らされた。あらゆるものが国境を越えて流動するグローバル化の負の側面を露わにした。市民一人一人が適切に行動することが、国家的対策を支える基盤になる。特に不確かな情報に惑わされてパニックに陥り、集団で買い占めなどの不適切な行動に走ることは厳に慎まなければならない。独立自尊の精神を持って困難を乗り越え、豊かな人生を送ってほしい。

 <早稲田大・田中愛治総長> 4月から新しい一歩を踏み出す皆さんを感染の危険にさらすことはできない。人類が直面している問題の多くに正解はない。学問に基づく知識を基盤に置きながら、自分の頭で誰も答えを知らない問題に挑戦し、その解決策を考えていく人材になってほしい。

 <東京大・五神真総長> 感染症の拡散を目の当たりにして、現代の人々の活動や経済社会の仕組みが、いかに国境を越えたものになっているかを実感したのではないか。限られた地域の利害にのみ目を向けた行動が、いかに無力であるか。人類全体が取り組まなければならない課題の解決に向け、互いの違いを認め多様性を尊重し、様々な知恵を出し合って、協議していくことがますます重要になっている。

 <東北大・大野英男総長> 感染拡大防止策に、「社会の統制」と「個人の自由」の間のトレードオフ(両立しない状態)を意識した人も多いのではないか。社会がとるべき措置と市民がとるべき行動の間には、多様な選択肢が存在する。国際協議を通して解決していくことが不可欠になり、自然科学から人文社会科学にわたる広範な知の基盤があって初めて可能になることも忘れてはならない。

  学長たちは「人類は感染症に国境がないことを思い知らされた」(慶應義塾大塾長)、「限られた地域の利害のみを意識、いかに無力か」(東京大学長)と訴えています。不確実性社会にあって学問を極める猶予を与えられた大学生はこれら学長の言葉をよく咀嚼(そしゃく)してほしい。

 今夏の東京五輪は来年4月以降に延期することになりました。

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