教師の仕事とは・・・

 この4月、小・中・高校にたくさんの新任の先生が採用され、早速授業はもとより、児童生徒の問題行動や部活動等の指導あるいは研修にと勤しんでいるはずである。しかし、いろいろな壁に突き当たり、悩んだり、落ち込んだりして、せっかく夢がかなってなれた教師の本分を見失っている先生はいないだろうか。そこで、あらためて「教師の仕事とは何なのか」についてある先輩の教えを紹介したい。
 それは、(1)地味である。(2)忍耐が必要である。(3)愛情が必要である。(4)無上の喜びを味わえる。(5)誰もが一度はやってみたい仕事の一つである。
 実にわかりやすく、そのものズバリである。(1)(2)は、特に小学校段階ではしっかりと認識すべきであろう。(3)に至っては教育に絶対に欠かせない要件である。教育の理念は「教育愛」と言っても過言ではない。
 (1)(2)(3)を乗り越えていくと、(4)が待っている。地味で、忍耐を要しながらも「無上の喜び」を味わえるのも教師ならではないだろうか。しかもそれは365日のうちたった1日だけかも知れない。でも、それは貴重そのもの、お金や物に替えることのできない価値であるに違いない。忍耐と愛情の賜だ。
 それ故に、(5)誰もが一度は経験してみたい仕事なのである。たくさんの社会人が勤めのない土・日などにスポーツ少年団の指導や体育指導員、あるいは地域で音楽、書道、詩吟、舞踊、唄など自分の得意とする芸術を教えたりしているのも、教師という仕事の魅力がそうさせているのだと思う。そうした中で、教師を職業としている教師は自分自身をこの上なく幸せに思い、仕事に精励してもらえたら子どもたちにとってもこの上ない幸せである。
 ところが、首都圏のある県の24年度教員採用状況を見ると、採用倍率は小学校3.4倍、中学校7.0倍、高校6.2倍と全体的に下がっており、特に、小学校は年々低下傾向にあるという。つまり、就活困難時代でも教師志願が敬遠されているということであろうか。いろいろとその理由はあると思うが、教育の理想を実現するためにも、ぜひ若い世代に志願してもらいたい。教育は「国家百年の計」といわれる。その中で教師の役割は重要な鍵をにぎっている。
 新任はもとより現職の先生にも「教師の仕事とは・・・」が何かの参考になれば幸いである。世に、人を導くという崇高な仕事に憧れている人々がたくさんいること、そして、その人たちの付託を課せられていることも心に銘じて・・・。併せて、国もわれわれ国民も物心両面からよりよい教育環境整備に努めなければならないと思う。