むずかしい?「早期発見」

 18日、歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが「初期の食道がん」であることを発表した。6月の定期健診で見つかったという。今は、7月の手術に備えて温泉療養中で、ある医師は「食道がんはがんの中でもたいへん難しい疾患だが、早期発見・早期治療で改善される可能性がある」とのこと。歌舞伎界の人気俳優だけに全快を祈りながらも経過が注目されるところである。
 相当に多忙なはずの勘三郎さんが定期健診を受けていたことに感心した。特に有名人は時間がないとして怠りがちである。それだけに、このことは我々一般市民に対してもいい啓蒙になったように思う。かく言う私も「定期」ではなく具合の悪い時に検診してもらう有様である。
 3年ほど前、友人のN子さんが「65歳になったので・・」と言って、8月に市の健診を受けたところ、胃がんが見つかり「すぐがんセンターへ行くように」と診断された。健診はかなり久しぶりだったようだ。がんセンターの医師には「生存率12%」と宣告され、手術をした。10月一旦退院したものの再入院し、翌年1月に亡くなった。胃がんが発見されるまで、よく食べて、どこも異状なく健康に見えた。それだけに、ご本人は「いったい何が起きたのか」と今でも疑いながら眠っているのではないか。
 今月はじめ、ある訃報に耳を疑った。スキー仲間のMさんが急逝したのである。その1週間前に会ったという人もいる。具合が悪いというので入院して何日もしないで66歳の若さで亡くなった。心不全、ということである。あまりにも急な報せに痛惜の念に駆られているところであるが、やはり、誰よりもご本人が信じられない思いでいるに違いない。スキークラブの会長を務め、スキーも続けていただけになおさらであろう。
 残念ながら、他にも同じような訃報に接している。「もっと早く見つかれば治せたのでは・・・」と悔やむことも。とは言え、意外と早期発見の難しさもある。発見されたときは「末期症状」という例が多いことからも、健康な人ほど難しいように思えてならない。最近では、どこの自治体でも無料で定期健診を受けられるようになっている。少なくともそれは受けた方がいいし、人間ドックもやれたら安心だ。
 しかし、いつもこんな不安を抱きながら生活するのもどうかと思うので、定期検診は受けることとし、あとは、よく言われる、適当な運動と食事、そして人生の生き甲斐を求めていくことかな。「病は気から」というのもあながち否めないと思う。