「不可逆的な解決」慰安婦問題 日韓合意

 2015年まさに年の瀬に、このようなニュースが飛び込んできた。確か、かつての日韓首脳会談で「年内に解決を」と声明を発表していたので、年内ギリギリではあるが合意を実現させたことになる。ともかく、日韓両国の長年の最たる外交問題である慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的な解決」に至ったことは歓迎すべきであると思う。
 28日、ソウルで日韓外相会議を開き、慰安婦問題を解決することで合意した。当然のことながら、安倍首相と朴大統領の政治決断によるもので、両国関係は今後、改善に向けて大きく前進する可能性が出てきたように思う。政治家の決断が良くも悪くも自国民だけでなく他の国民の政治、経済、文化、教育等に大きな影響力を及ぼすことを改めて思い知らされた。今回は、「良い決断」であったが。
 これですべて終了ということではないと思う。特に、元慰安婦の人権、尊厳の回復はじめ両国は「不可逆的な解決」を本物にしていくために幾多の難関を乗り超えねばならない。それは政治家や官僚にだけに任せるのではなく、民間外交も有効的だと思う。たくさんの韓国人が来日しては、観光や買い物などを通してたくさんの日本人と触れ合っている。日本人も韓国を訪れて同じようにして帰国している。これだけでも民間外交が立派に成立していることになるので、政治家、マスメディアは民間人外交を上手に後方支援してもらうと有り難い。
 ところで、これだけのニュースをメデイアはどう伝えているのか。メディアの影響も大きいので・・・。
讀売〜慰安婦問題 最終的に解決 日韓外相が表明 朝日〜慰安婦問題 日韓合意「不可逆的な解決」確認 毎日〜慰安婦問題 解決合意 持論封印 首相に「実」 日経〜慰安婦問題 日韓首脳 こだわった年内決着 東京〜慰安婦問題解決で日韓合意「日本政府は責任痛感」 北海道〜慰安婦問題解決 日韓は一層歩み寄りを
 英国BBC〜両国は歴史的な合意をした  米国ニューヨーク・タイムズ〜最も打開がむずかしい感情的な問題が画期的な合意によって解消されるであろう  米国ウォールストリート・ジャーナル〜日韓関係の雪解けは中国と北朝鮮に対抗する上で日韓を重要なパートナーと見る米政府にも歓迎されるであろう
 「不可逆」とは文字通り「もとへもどらない」「逆進しない」という意味。慰安婦問題について、両国は「国際社会で互いに非難、批判することは控える」という方針を表明しており、これが「不可逆」の意味を具現的に説明したものである。このような言葉を使わねばならないほどいかに解決が困難であるかを物語っているように思う。と同時に、慰安婦問題は戦争の惨禍であることを再認識すべきである。
 年末のBig Newsに度肝を抜かれ、すべて忘れてしまいそうになったが、今年も内外いろんな深刻な問題や災害などがあった。中でもヨーロッパのテロや難民の問題は決して「対岸の火事」では済まされない現実味がある。国内ではあの「安保法制」が本当に国民の生命と生活を守ってくれるのか、未だに不安である。これらについても皆んなが納得する「不可逆的な説明」をお願いしたいものである。
 今年の「漢字」は「安」だった。残念ながら安心や安全を乞い願う「安」であり、「不安」の「安」に思えてならない。真に安心・安全を実感できる社会の実現を願いたい。自分自身も、そのために何ができるか、自問自答しながら新年を迎えることにしようと思う。みなさん、どうぞ、良いお年を! 併せて、「消光の日々、されど」も引き続きよろしく! 

   利根川にて  11.17