スキーバス事故を憂う

 15日未明、軽井沢の国道18号の入山峠付近で、スキーツアーの大型バスが道路脇から転落し14人が死亡するという悲惨な事故が起きた。近年、バスの事故が多いので国は規制を厳しくしたが、事故は繰り返された。メディアは取材を通して、バス会社の安全管理がずさんであると報道じているが警察等の発表はまだない。亡くなった2人の運転手と12人の大学生に哀悼の意を表するとともに、事故の再発防止を誓わなければならないと思う。とりわけ、洋々たる前途を絶たれた大学生の虚しさは計り知れない。
 私は昨年の2月、スキー仲間5人と一緒に斑尾高原スキー場へ行った。たまたま宿泊したホテルには私たち以外は殆どが大学生だった。大学生を乗せた1台のバスが帰ると新たに1台のバスが大学生を運んできた。食事は他大生と一緒なので、お互いに交流していた。おかげでスキー場も賑わっていてリフト待ちで並ぶ風景に目を疑う有り様。ある大学生に「このスキー場はどうして大学生が多いのか」と尋ねると「格安ツアーの人気」を上げた。詳しい数字は不明であったが、かなり安いということである。ちなみに、私たちは東京〜長野=新幹線、長野〜斑尾スキー場=バスという2泊3日のJRスキーパックを利用、ホテルが少し安いだけで特に格安ではなかった。
 スキー企画会社、バス会社、ホテル、スキー場の4社が協議して格安の料金を決めて、大学生を中心に募集したところ学生のニーズに適合し年々人気が高まり今日に至っているようである。スキーはアクセス、道具、リフト、宿泊等の料金が高いので、特に学生には「高嶺の花」であることから「格安ツアー」は願ってもない情報であった。学生たちは、卒業記念に、ゼミやクラブ仲間の交流にスキーツアーを充てていた。今次、事故に遭遇したスキーツアーも斑尾高原スキー場へ行くことになっていた。
 学生の人気とは裏腹に4社はどうだったのか。4社とも採算は採れていたのか。運転手や担当者の労働時間や賃金に問題はなかったか。安全管理に時間と経費を十分充てていたのか等々、気がかりである。さらに、それぞれの会社の経営理念はどうなっているのか。特に直接人命を預かる役割のバス会社には厳格な安全確保理念が最優先されていただろうか。
 本来、スキーやスノーボードは誰もが一度はやってみたくなる冬スポーツの花形である。その矢先で、命を奪われては為す術が無い。こんなに虚しいことはない。これからスキー場へ行こうとしている人たちのためにも関係者は安全宣言を発し、実行して欲しい。
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この日の斑尾高原スキー場は度々スモッグのため視界ゼロになりスキーヤーはホテルで待機。これはスモッグの晴れ間に飛び出してきたスキーヤーたち。それでも大勢のスキーヤーがいた。(2015,2,25)