熊本地震の教訓

 4月14日午後9時26分、熊本地方にM6.5の大地震が発生し、見る見るうちに被害が広がった。震源地に最も近いとされるのは益城町(ましきまち)と発表。さらに、16日午前1時25分、ほぼ同じ地域でM7.3の地震が発生し、気象庁はこの地震を本震と発表した。しかし、本日、気象庁はその後の調査で、14日の地震も本震並みの震度7を越していると発表。益城町では震度7以上の地震に2回も見舞われたことになる。従って、同町は被災状況も際立って大きい。
 九州全県の直近の被害状況は、死者48人、安否不明3人、負傷者1147人、避難者9万5644人、全壊・半壊2479棟。地震の回数は、震度7〜2回、6強〜2、6弱〜3、5強〜3、5弱〜7、4〜72、3〜1が551回、計640回に及んでいる。
 震源地(断層)に近く震度7以上を2回も観測し、20人の死者が出た益城町の被害は、全住宅1万1076棟のうち、全壊1026棟、半壊・一部損壊4374棟、損壊なし5676棟。町内の約半数にあたる計5400棟が一部損壊以上の被害を受けており、地震規模の大きさを物語っている。
 亡くなられた大半の方々は家屋が倒壊し、瓦礫に押しつぶされて犠牲になっている。最も安心なはずの家庭にいて命を奪われては、どうしたらいいのかと、悔やみきれない思いだったに違いない。また、大量の土石流にのみ込まれて数時間後に救出されたが死亡を確認された人もいる。
 地震の頻発でとても住宅内にいることができず、小・中学校の体育館や公民館、自家用車などで避難所暮らしを強いられている住民は不自由で、不健康な生活で疲れ切っている。家族を失った悲しみや倒壊した家屋のことなどに思いを巡らすと気持ちは重くなるばかりであろうと思う。それでも、一日も早く自宅へ帰り今までの生活をしたいと望んでいるはずである。長年にわたって築いてきた隣近所はじめ地域との連帯を大事にしようと思っている。コミュニティが復旧のために大きな力になるだろう、と思う。
 震源地が熊本県益城町西原村熊本市宇土市八代市阿蘇市、さらに大分県へと広がっている。この地域は九州最長(101km)の活断層、布田川・日奈久断層帯が走っていて、阪神大震災のような直下型地震を引き起こすおそれがある、と政府の地震調査研究本部によって「主要活断層」に指定されている。
 このような調査はいろいろな機関や研究所で行われているが、上記九州の活断層については、「30年以内にM7以上の地震が起こる確率は最大6%」だという。これだけでは、誰も直近の予想はできない。日本列島に98もの活断層があるというので、「明日は我が身」の思いに駆られる。しかし、具体的な防災対策はしていない。我が家はどれだけの震度に耐えられかも分からない。最近では、5年前の「3.11地震」が最も強かったが、なんとか耐えたものの震源地に近かったら倒壊する可能性はある。
 公共施設の耐震工事は進められているが、民家や民間の古い建物は心配である。大震災のたびに防災意識は高まるが、日が経つと冷めてしまう。個人ではやれることが限られるので、まさに国をあげて取り組まないと大震災の教訓は何一つ生かされないのではないか。震災のたびに予算執行を繰り返すのではなく、長期的・計画的に防災対策を立て、予算を充てて、将来の備えをすべきである。政治に期するものが大きいと思う。地震国・日本を再々認識して・・・。
 遅ればせながら、本地震より亡くなられた方々はじめ被災に遭われた皆さんに弔意とお見舞いを申し上げ、今は只、手厚い救護と一日も早い復旧・復興をお祈りするのみである。