子どもの問題は親の問題!

 北海道七飯町の山林で両親に置き去りにされ行方不明になっていた小学2年、田野岡大和くん(7)がきょう、6日ぶりに保護され、無事だった。行方不明になった場所から約5Km先の自衛隊宿泊施設にいるところを自衛隊員によって発見された。家族で遊びに来ていた公園で大和くんが小石を人や車に投げつけるなどした「しつけ」として両親は山道で大和くんを車から降ろし、5分後に戻ったところその場からいなくなっていたという。道警・地元消防・自治体が主に行方不明になった近隣の山林を一日最大200人規模で捜索していた。
 小石を人や車に投げつけた「しつけ」として子どもを山林に置き去りにしたことの是非について、国内だけでなく海外でも話題になり大きな反響を呼んでいる。国内では、ある調査によると「しつけ」として「認めない」84%、「認める」14%で、むしろ「虐待」に当たるという意見が多数を占めている。海外のメディアも「虐待に他ならない」「両親を児童放棄で逮捕すべき」などきびしい非難ばかりである。
 夕刻に、不案内の山林に置き去りにされたことで、大和くんは相当パニック状態になったはずである。そのことからも両親の行為は単に感情的になって「しつけ」の意義を著しく取り違えた「身体的心理的虐待に相当する」のではないかと思う。親はそのことに気づいているのだろうか。
 大和くんが小石を投げたのは、5月28日午後3時頃で、車から降ろされたのは2時間後の5時頃。ここで言えることは、「小石を投げた」時点で、それがどうして、どんなにやってはいけないことかを叱り、分からせるべきだった。小石を投げつけられた人がいたら子どもを連れて行って親子で詫びることが本来の「しつけ」ではないか。その周りに他人がいても世間体を気にするよりも「しつけ」のいい機会としてそうすべきだったと思う。そうすれば置き去りにすることはなかったと思う。「後で叱る」ことは却って反発を買うだけで何の効果もないことを親は学んで欲しい。
 本件で、親としてもう一点考えてもらいたいのは、小学校2年生の我が子が車や人に小石を投げるようなことをするのは「何故なのか」を自問自答して、親の子育てに問題はなかったかを反省する機会にして欲しいということである。世には完璧な子育てはないので、率直に反省すべきことは反省し謙虚に受け入れて、子どもに謝るべきことがあれば率直に伝えた方がいいと思う。そして、子どもが問題を起こした時には、「何故なのか」を自問自答することから始めれば、子どもを一方的に追い詰めるような叱り方にはならないと思う。
 本件に限らず、子どもはいろんな問題を引き起こすのは世の常である。しかし、それは親や大人社会への反発である場合が多い。なぜならば、前述の通り「完璧な子育て」は有り得ないからである。子どもの問題は家庭のしつけや学校教育の過程において生じていることから、子どもだけの所為にしてはならないと思う。
 「子は親の鏡」と言われるように、今や「子どもの問題は親の問題」として受け止める寛容さが求められているように思う。本当のしつけはどうあるべきか、本件は、親と大人社会に子育てのあり方を問いかけている事案ではないかと思う。