新聞を読んで(1)

変わる家族 手料理も外注
 東京都中央区に住むHさん家族(夫婦 子ども2人)は、5日分10種類の料理を家事代行会社の女性スタッフに調理してもらった。調理代は16,000円。時間的に余裕のできた奥さん(41歳)は内職を進めたり、子どもの宿題を見たりして「大変な時に無理して作ってもつらいだけ。頼んだ方が家族にプラスです」と話す。
 家事代行会社の利用件数は年々約25%増だという。1980年に1100世帯あった専業主婦世帯はいま690万。共働き世帯は逆に610万から1100万になった。家事代行の市場は2011年時点で290億円。将来は約6倍になるとみられている。これらの状況からHさん家族の調理代行は決して珍しいことではない。
 「料理を手作りしなれば」という規範がまだ強い時代。一方、女性の就労などで、できない家庭が増えていることも事実。「家庭の姿が変化しているいま、規範にとらわれる必要はなくなっている」と学者は指摘する。
 家族の変化は墓にも顕著に表れている。先祖代々の墓があっても別の墓を選ぶ家族も出てきた。東京都町田市のSさん(66歳)は4年前、樹木葬の区画を買った。娘と猫、「死後は実家の墓に」と言っていた夫も入る予定だ。「行き先は自分たちで決めたかった」とSさん。墓を代々守ることは、困難になりつつある時代がすでに始まっている。(2017.1.7 朝日新聞朝刊より)

 我が家では、私が一週間ほど不在の時は妻は5日間宅配料理を注文して、手間と食材の無駄を減らすとともに外食の味を楽しむことにしている。ある友人の家庭では、奥さんが長期的に体調が良くなく夫婦で毎日宅配を取っている。このように身近にも同じような事例がある。とはいえ、記事にあるように「規範」を排除して、食事の形態が変わっても家族の合意のもと食事を楽しめれば、夫婦の愛情や家族の絆まで崩壊することはないと信じたい。墓の問題も同様に思う。
 しかし、結婚するのか、子どもを産むのか、誰と住むのか、夫婦別姓婚外子、死後をどうするのか。これらは望まなくとも現実的選択肢として迫ってくる問題である。それぞれが現実を踏まえた対応をしていくのが今の時代であると思う。生き方の多様化が家族も多様化させる。この記事は、あらゆる家族を受け入れる未来を受け入れていく社会を築いていけるのか、という問題を提起している。

   家族連れで賑わう会津・大内宿         菩提寺の永代住職の墓地