楽しく、安全なスキーを!

 12月9日〜11日の3日間、札幌国際スキー場で初滑り。この時期としては、例年よりも雪が多く、ゴンドラやリフト待ちでスキーヤーの列ができた。スキー関係者にとっては本当にありがたい光景であったに違いない。
 スキーヤーは全盛期と言われた平成8年頃に比べると3分の1の680万人に減少し、全国に600もあるスキー場の閉鎖が各地で続いているという。それゆえに、北海道は雪質もよく、スキーシーズンも長く、スキーヤーが多いことから何とかしてスキー人口の減少に歯止めをかけようと必死なのである。
 北海道は冬季観光のエースとしてスキーをPRし、スキー客の獲得に努めていることも事実。滞在中に、宮崎や大阪の中・高校生がスキー教室を楽しんでいた。また、中国や韓国、オーストラリアからのスキー客も見かけた。
 私は全日本スキー連盟(SAJ)公認のスキー指導員の資格をもっていて、今回その実技研修会に参加するため札幌へ向かった次第。スキー指導員の役割は、安全で楽しい滑り方を教えると共に、スキーを普及させることにある。私もスキーの楽しさを是非ともたくさんの人に体験してもらいたくて、何十年もスキーを続けている一人である。
 スキーの楽しさの一つは、いろんな斜面を自由自在に滑れる様になることにある。また、スキーを通して友だちがたくさんできて、人生を豊かにしてくれることも確かだ。さらに、スキー場への往復のアクセスは旅でもあり、電車や車や飛行機から風景を楽しむことや、初対面の人との出会いもある。
 札幌滞在中に、北海道の他のスキー場で中学生と65歳の女性が衝突して女性が死亡し、中学生も重傷を負う事故が起きた。それ以上、事故の経緯はわからないが、両人共にスキーを楽しもうとしていたはずなのに余りにも痛ましい事故である。事故が起きては楽しいスキーはない。 
 昨年、オーストリアでリフト待ちのスキーヤーを見るかぎり8割以上がヘルメットを着用していた。幼稚園児のスキー教室では全員着用だ。コース整備やリフトやゴンドラの整備もしっかりしている。安全のためにお金を惜しまない考えが徹底している。我が国ではヘルメットの着用は1割にも達していないことからも安全意識が希薄であると言わざるを得ない。それがの大きな事故の遠因になっている。
 どんなにスキーが上手でも他のスキーヤーにけがをさせたり、怖い思いをさせては、スキーを真に楽しめないことをわかってほしい。そうすれば、スキーは危険なスポーツという先入観も払拭され、楽しさが保証されるだろう。

ヘルメット着用者は少ない  札幌国際スキー場にて