花と新緑の季節に
4月も中旬、ここ首都圏では新緑の季節を迎えた。我が家の狭い庭先の花も厳しかった冬を乗り越えて気持ちよさそうに咲いている。
このツツジは10日頃咲き始めて、今も健在。近くの公園や路地のツツジもとうに咲いているので、今年は2週間近く早そうだ。右は、冬季を楽しませてくれたパンジー、ビオラ、ノースポールなど。
大葉紅かしわ。葉は付き始めてしばらくは薄い紅色。その後、茶褐色に。次第に青みがかって最後は真っ青になる。文字通り、直径20cm以上の大葉になる。右は、ハナニラ。日の当たる庭の片隅に毎年咲いているが、図鑑でやっと花名がわかった。アルゼンチンやウルグアイ原産で、茎をつぶすとニラの匂いがするので、この名前がついた。
こちらにも同じパンジー、ビオラ、ノースポールなどと、これから咲いてくれるサフィニアやサンパチェンス、ペチュニア。
たのしみは 庭にうゑたる 春秋の 花のさかりに あへる時時 橘 曙覧
福井が生んだ幕末の歌人・国学者の橘曙覧(たちばな あけみ)(1812〜1868)は家業を弟に譲り、独学で歌人の道を歩み、正岡子規にも高く評価された。晩年「独楽吟」という短歌集を編んだ。(2012.5.19号参照)
この歌集は52首からなり、すべて「たのしみは・・・〜時(とき)」の形式を踏んでいる。この一首は自然を歌ったものであるが、その他、食事のことや家族、書、邂逅などをテーマに清貧な歌人生活を歌っている。中でも、次の一首は彼の大傑作と言われている。
たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時
歌人の奥深い心情にはとても及ばないが、朝、花や雑草をながめるのは楽しみだ。花はきれいに咲いているが、決して、てらうことがない。だから、きれいなんだろう。