年年歳歳・・・・。

 新年度を迎えた。現職時代は毎年新規まき直しの時として、奮い立ったことを思い起こす。新しい職場へ異動した時は、特にその思いが強かった。それも遠い遠い昔のことに。
 きのうから胸をときめかして、社会人として新たな人生のスタートをした人たちがたくさんいる。しかし、高校生や大学生にはまだ就職難時代で、一応就職したものの必ずしも第一希望ではないという人が多いと聞く。それは、企業が本格的に新採用の門戸を開いていないために倍率が高く、希望が叶えられず、第二、第三希望に回らざるを得なかったということだろうと思う。もっとも、実際に仕事をしてみて、適性が合わない場合は転職もあっていいと思う。
 敢えて学生たちにも言うとすれば、自分の進路についてもっと早くから煮詰める努力をすべきだね。高校生や大学生に「あなたの将来の進路は」と聞くと、十中八九「決めていません」「わかりません」という返答が多い。たぶん、自分自身の性格や、適性などがわからないからだと思う。
 「学生時代」は、モラトリアム(猶予期間)といい、自分自身をよく知るためにいろいろな体験や学業をする貴重な機会である。それによって自分をさらによく知り、将来の仕事や生き方に結びつけていくことを期している。モラトリアムをもっと活かした学生時代を送ることだね。
 60歳になり定年退職し、第二の人生を始めた人もいる。小学校の校長の0さんは再雇用を断り、きのうから無職の社会人になり、さぞかし肩の荷をおろしてほっとしているだろうと思う。彼は私が現職中に新任教師として赴任してきた真面目人間である。
 退職直前の3月30日、校長室に彼を訪ねると、その当時のままのお人柄で年輪を重ねていた。「長年にわたり立派に教職を全うし、多くの皆さんに惜しまれながら定年退職を迎えられ、おめでとう」と祝し、ねぎらうと、「その時まであと2日ありますので・・・」と最後まで職責を完遂しようとしていた。しかし、何ごともなく定年退職を果たしたはずである。彼にとって忘れがたき年度となった。
 おとなりの女の子、Rちゃんはこの6日、ピッカピッカの小学校1年生になる。よくあいさつができて明るく活発な子である。いつも幼稚園であった出来ごとや友達のことを楽しそうに話してくれた。Rちゃんにとってこの4月は新たな人生の始まりとしていつまでも心に鮮烈に残るでしょう。小学生になってもよろしくね!
 年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず、の新年度がスタートした。どなたにとってもいい人生の始まりとなるよう祈ろう!
        
         東京湾江戸川河口から8.5キロ付近の野田市今上。対岸は埼玉県吉川市