おめでとう、栃ノ心! 

 大相撲初場所は前頭3枚目の栃ノ心が14日目で初優勝を決め、きょう千秋楽を迎えました。平幕優勝は2012年夏場所以来で、ジョージア出身の優勝は始めてです。栃ノ心は30歳、身長192cm、体重177kg、幕内通算成績は370勝376敗18休。最高位は関脇という経歴の持ち主です。一時は幕下55枚目まで落ち、幕下からカムバックして優勝したのは元横綱千代の富士、元関脇琴風に次いで3人目。海外出身の優勝はモンゴル(6人、79回)、米国ハワイ(27回、4人)、ブルガリアエストニアジョージア各1回。
 栃ノ心の本名は、レヴェニ ゴルヴゼ(グルジア語)。ジョージア黒海カスピ海挟にはさまれた比較的小さな国で、1991年ソ連解体と共に2015年4月22日、日本語の国名が「グルジア」から「ジョージア」に変更。首都はトビリシ、面積は69、700㎢、人口約430万人(’09年 世界122位)の小国。
 栃ノ心の出身の村は人口が1500人で、実家ではお母さんと妻ニノさんと生まれたばかりの女の赤ちゃんが栃ノ心の優勝を喜んでいます。お母さんは「教会に通い、勝利を祈っていました。不断の努力の結果だと思います」と語り、栃ノ心は「娘が生まれた時に初めて泣きました。2回目に泣いたのは今日です」と優勝が決まった昨日語っています。
 春場所は3横綱が途中休場し、一人横綱鶴竜に優勝の期待がかかっていたのですが、11日目から4連敗してしまいました。辛うじて大関高安が3敗で優勝争いに残っていたものの時遅く、栃ノ心が1敗を堅持し優勝することになりました。
 今場所は横綱他3役は負け越しが多く、真の盛り上がりを欠いているように感じます。平幕力士に優勝をさらわれても不思議ではない状況でした。相撲協会は親方や力士間の暴力問題など不祥事が多いことに鑑みて、親方等の倫理観や指導のあり方を根本から洗い直し、健全な力士の育成方法を確立してほしいと思います。
 スポーツ選手を育てる基本的な思想は「心身の育成」であると思いるます。どちらかといえば「心」よりも「身」つまり「身体」に偏向した教育をし、心身のバランスを極端に欠いているのではないでしょうか。それでも大成する選手がいますので、身体優先がつい正当化されてしまうようです。暴力を伴なわない身体能力の育成方法を真剣に研究して、明るい相撲界にしてほしい。
 今、今場所の表彰式が終わりました。14勝1敗で優勝した栃ノ心の喜びのインタビューが初々しく、爽やかで相撲界のモヤモヤを少しは払拭してくれたように感じました。